[アップデート] Amazon QuickSight で複数シート共通のフィルターが作成できるようになりました
いわさです。
Amazon QuickSight ではビジュアルやシートにフィルターを設定し、例えばフィルターコントロールをダッシュボードへ設置して、ダッシュボード閲覧者にデータのフィルタリング機能を提供することが出来ます。
これまで「パラメータ」については複数シート共有のものを作成することが出来たのですが、「フィルター」についてはビジュアルごと、あるいはデータセットごとに共通という形で使う形となっていました。
そのため、全シートにわたって同じフィルターを使いたい場合は分析内に共通パラメータを作成した上で複数シートのビジュアルごとにフィルターを作成して同じパラメータを参照するような方法が必要でした。
先日のアップデートで、複数シートに跨るフィルターを作成することができるようになりました。
何が変わったのかちょっとわかりにくいのですが、変更点などを調べてみましたので紹介したいと思います。
パラメータはシートやビジュアル共通の概念
まず、QuickSight の分析画面で複数のシートにビジュアルをいくつか配置していたとします。
分析やダッシュボードではパラメータという概念があり、例えば閲覧者がコントロールから数値やテキストなど、ダッシュボードの表示時の挙動として考慮してほしい変数を提供するものです。
このパラメータは分析に提供される概念のため、複数のシートやビジュアル間で共通のパラメータとして扱うことが出来ます。
フィルターは従来はビジュアルごとの概念だった
フィルターを構成することで、ビジュアルごとに表示内容をフィルタリングすることが出来ます。
このフィルターでは静的な条件を設定することも出来ますし、パラメータなどを参照した動的な条件を設定することも可能です。
ただしフィルターの条件としては、対象のビジュアルのみ、あるいはデータセットをターゲットとしてフィルタリングする(それによって同一データセットを参照するビジュアルもフィルタリングされる)ことまでは出来ていました。
そのため、通常どおり構成した場合は次のようにシートによってはコントロールで入力・選択した内容でパラメータが更新され、それによってパラメータを参照しているフィルターとそのフィルターが関連付けられているビジュアルの表示が切り替わるような形となっていました。
次の場合は別のシートではフィルターを設定していないため、パラメータの内容は共有されていますが、フィルターが設定されていない場合はビジュアルを表示内容を変更することは出来ませんでした。
そのため、
フィルターを複数のシートに関連付けることができるようになった
今回のアップデートで次のようにフィルターに「クロスシート」という概念が追加されています。
フィルター内で関連付けする対象のシートを選択することで、複数のシートやビジュアルに影響するフィルターを作成することが出来ます。
また、単独ビジュアルのみのフィルターで動的パラメータを使用しようとすると、次のようにすべてのビジュアルとシートにフィルターを適用するか確認されます。
ここで「はい」を選択した場合も、クロスシートフィルター設定が自動で行われます。
フィルター画面ではフィルターの対象範囲が次のように表示されるようになっており、次の画面ではこのフィルターがクロスシートフィルターであることを示しています。
別シートを選択してみると、先程のフィルターがこちらのシート上でも設定されていることが確認出来ます。
事前にこのシートにフィルターは作成していませんでした。
対象シートは全てのみではなく選択も可能
このクロスシートフィルター機能ですが、対象シートを選択することも出来ます。
デフォルトは全シートが選択されていますが、次のようにシートを個別に選択することも可能です。これは良いですね。
クロスシートの対象外となったシートでは、クロスシートフィルタが関連付けされていないことが確認出来ました。
さいごに
本日は Amazon QuickSight で複数シート共通のフィルターが作成できるようになったので確認してみました。
ちょっとわかりにくいのですが、従来はデータセットレベルでのフィルターが必要だったのに対し、今回のアップデートで単純に複数シート共通のフィルターを作成できるようになりました。
必要に応じて分析を作成し、単独シート運用をされている場合はあまり活用シーンがないかもしれませんが、複数シート運用されている方は冗長なフィルター構成を行っている場合もありますので、ぜひ今回の機能を使ってみてください。